皆さん、「グレープシードオイル」と呼ばれる油はご存知ですか?
料理に使う油にも色々ありますが、ヘルシーであることを理由にオリーブオイルを活用している人は多いことでしょう。そして、オリーブオイルに次ぐ勢いで注目を集めているのがこのグレープシードオイルです。
名前からも推測できる通り、これはブドウの種から採取される油であり、ブドウの生産が盛んなフランスやイタリアを中心に製造されています。
グレープシードオイルのタイプは採取する種に応じてさまざまですが、もちろんマスカットの種から採取されるものも含まれます。アメリカのフロリダ大学の研究グループの間では、マスカット由来のグレープシードオイルが持つ肥満解消効果が注目されています。こちらでは、国際生化学雑誌『Food & Function』に寄稿された同研究グループの研究報告を紹介したいと思います。
出典:food.foto
■健康効果のカギはビタミンE?
コレステロール低下作用や抗ガン作用、抗酸化作用を発揮する栄養成分のひとつにトコトリエノールがあります。俗に「スーパービタミンE」という愛称で親しまれているトコトリエノールはマスカット由来のグレープシードオイルによって生成されるようになっています。よって、トコトリエノール生成作用のあるマスカット由来のグレープシードオイルを体内に摂り入れることで、血管に余分なコレステロールが蓄積しなくなり、その結果動脈硬化症の進行を抑えることが可能となるわけです。
マスカット由来のグレープシードオイルは、ぬか油やオリーブ油よりも肥満解消効果が高い
マスカット由来のグレープシードオイルのほかには、米ぬか油やオリーブオイルもまたヘルシーな油として知られています。これら3つの油のうち、どれが最もヘルシーであるかに着目したのがフロリダ大学の食物・農業科学研究所のMarty Marshall教授率いる研究チームです。原発性ヒト脂肪由来細胞(hASC)を用いて試験を実施し、米ぬか油、オリーブ油、マスカット由来のグレープシードオイルとで比較検討したところ、マスカット由来のグレープシードオイルで処置したhASCは、米ぬか油やオリーブ油の場合に比べ、中性脂肪が蓄積しにくいことが分かりました。
また、マスカット由来のトコトリエノール高含有フラクション(TRF)を摂取したグループは、その他のグループに比べ、脂質形成に関与するmRNAや蛋白質の発現量が有意に少ないこと、ヒトの余脂肪細胞やサイトカインの分泌時に見られるLPS誘導型の炎症性遺伝子の発現が中程度まで抑えられることも確認されました。
以上の研究結果を踏まえ、研究者らは、マスカット由来のグレープシードオイルは不変かつ確実なトコトリエノールの自然源であり、肥満および肥満関連の脂肪組織炎症を減らすための新たな食事療法として有用であるかもしれないという結論を下しています。
追記:
肥満気味の人は動脈硬化を抱えていることが多いですが、動脈硬化症は糖尿病とも関係の深い病気です。
肥満解消のために積極的に野菜サラダを食べるようにしているという方は多いでしょうが、野菜サラダにかけるドレッシングとして、マスカット由来のグレープシードオイルを検討してみるのもよいかもしれません。
(文・大澤法子)